転職を10回していても永住権取得はできるのか?

スーツを着た人が絵の階段を上がっていく

相談内容:転職を繰り返しているが永住権を取得したい

東京在住のデンマーク出身の女性(35歳)は、25歳の時に人材紹介会社を通じて日本のIT業界に就職しました。その後、2年後に別のIT企業に転職し、その後もSE(システムエンジニア)としてキャリアを積みながら、10回の転職を経験しました。彼女が永住権の申請を行った際、8ヶ月後に無事許可が下りました。転職を繰り返していると永住権取得に不利になると考えられがちですが、彼女がどのようなポイントを押さえて永住権を取得できたのかを見ていきましょう。

チェックポイント:永住権申請における重要な確認事項

永住権を取得するために考慮すべきポイントを以下にリスト化しました。

  1. 職歴の一貫性: 転職回数が多くても、同じ職種でキャリアを積んでいることが重要です。
  2. 収入の安定性: 直近5年間の収入が安定しているか、増加しているかが重要な判断材料となります。
  3. 転職の理由: 転職がキャリアアップやプロジェクトの終了に伴う合理的な理由であることを説明できることが必要です。
  4. 資産状況の証明: 預金残高や不動産の保有状況が経済的安定性を裏付けます。
  5. 社会保険や税金の滞納がないこと: 社会保険料や税金をきちんと納めていることが信頼性を高めます。

行政書士が伝える解決法:転職が多い場合の永住権取得に向けた手順

1. 転職歴の説明と職歴の一貫性を強調する

転職回数が多い場合でも、同じ職種で継続してキャリアを積んでいることを強調しましょう。特に、SEとしての職歴が一貫している場合、そのキャリアが専門的であることが重要です。これを証明するためには、以下のような資料を準備することが効果的です。

  • 過去のプロジェクト概要書: これまで関わったプロジェクトの概要を整理し、転職がプロジェクトの終了に伴う合理的なものであったことを示します。各プロジェクトの期間、担当した役割、成果を明記しましょう。
  • 現職の上司の推薦状: 現在の職場での評価を示すために、上司からの推薦状を準備します。推薦状には、本人の技術力、貢献度、職場での信頼度について具体的に記載してもらいます。

2. 収入の安定性を証明する

転職が多いと収入の不安定さが懸念されますが、直近5年間の安定した収入を証明することで、その懸念を払拭できます。具体的な方法は以下の通りです。

  • 所得課税証明書および納税証明書の提出: 直近5年間の収入を証明するため、これらの書類を準備します。収入が増加している場合は、それを強調しましょう。
  • 過去の給与明細: 過去の勤務先から給与明細を取り寄せ、収入の推移を確認できる資料として提出します。転職後も収入が維持されている、または増加していることが確認できる場合、審査官にとって非常に有利な情報となります。

3. 転職理由を明確に説明する

転職がキャリアアップやプロジェクトの終了に伴う合理的なものであったことを説明することが重要です。このため、転職理由を具体的に文書化し、申請理由書に盛り込むことが求められます。以下の点を含めて説明しましょう。

  • キャリアアップのための転職: 各転職が自身の技術力向上やキャリアアップのためであったことを強調します。例えば、より高度なプロジェクトに参加するため、または専門知識を深めるための転職であったことを明確にします。
  • プロジェクトの終了に伴う転職: SEの職務はプロジェクトベースであることが多いため、プロジェクトの終了が転職のタイミングとなったことを説明します。プロジェクト終了後に新しいチャレンジを求めた合理的な転職であることを示しましょう。

4. 資産状況を証明する

経済的安定性を裏付けるため、預金残高証明書や不動産の登記事項証明書を提出します。これにより、長期的に安定した生活基盤があることを示し、転職が収入の不安定性を招いていないことを強調します。

  • 預金残高証明書の準備: 現在の預金残高を示す証明書を提出し、経済的な余裕があることを証明します。
  • 不動産の登記事項証明書: 保有している不動産の証明書を提出することで、資産状況が安定していることを示します。

5. 社会保険や税金の納付状況を確認する

社会保険料や税金の納付状況は、永住権取得において信頼性を高める重要な要素です。これらがきちんと納付されていることを証明する書類を揃えましょう。

  • 年金記録証明書: 年金事務所から取り寄せた証明書を提出し、年金の納付状況を証明します。
  • 健康保険被保険者証のコピー: 社会保険の加入状況を確認するため、健康保険被保険者証のコピーを提出します。
  • 納税証明書: 過去の納税がきちんと行われていることを示す証明書を提出し、税金の滞納がないことを証明します。

6. 書類提出前の最終確認

申請書類を提出する前に、すべての書類が揃っているか、記載内容に不備がないかを再確認しましょう。特に、転職理由や収入の安定性を強調した資料が不足していないか、もう一度確認することが重要です。また、専門家のアドバイスを受けることで、申請書類の完成度を高めることができます。

対象の在留資格:永住権

永住権は、日本で無期限の滞在を許可する在留資格であり、ビザの更新が不要になります。転職を繰り返していても、適切な手続きを行い、必要な書類を揃えることで取得が可能です。

申請時の必要書類

永住権申請に際して、以下の書類が必要です。これらを準備して申請を進めてください。

  1. 永住許可申請書: 所定の様式に基づいて記入し、提出します。
  2. 申請理由書: 永住を希望する理由や、日本での生活の安定性について詳しく記載します。特に、転職理由や収入の安定性について具体的に記述します。
  3. 在留カードのコピー: 現在の在留資格を証明するため、在留カードの表裏両面のコピーを提出します。
  4. 直近5年間の所得課税証明書および納税証明書: 収入の安定性を証明するために提出します。
  5. 預金残高証明書: 経済的に安定していることを示すために必要です。
  6. 保有不動産の登記事項証明書: 資産状況を証明するために提出します。
  7. 年金記録証明書: 年金事務所から取り寄せた証明書で、社会保険の納付状況を確認します。
  8. 健康保険被保険者証のコピー: 社会保険の加入状況を確認するために必要です。
  9. 過去10年間のプロジェクト概要書: SEとしての職歴を証明するために必要です。
  10. 現勤務先の上司による推薦状: 現在の職場での評価を示すために提出します。

まとめ:転職が多くても永住権取得は可能

転職を繰り返している場合でも、しっかりとした準備を行えば永住権を取得することは可能です。職歴の一貫性や収入の安定性を証明する書類を整備し、転職の理由を明確に説明することで、審査をクリアすることができます。行政書士に相談し、適切な手続きを進めることで、永住権取得の成功率を高めましょう。

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